賃貸マンションを購入するも課税事業者ではないので、賃料収入消費税は還付されない。サラリーマンオーナーの体験談。

士業の体験談(資格試験、税理士事務所勤務体験などのあるある話)

賃貸マンションを購入するも課税事業者ではないので、賃料収入消費税は還付されない。サラリーマンオーナーの体験談。

私は、44歳、不動産投資を行っている者です。

大学を出てから会社員しかしたことなく、税金や不動産に関する知識はあまりありません。私か今回お話するのは、不動産購入に係る消費税(地方消費税も含みます。ただここでは、単に消費税といいます。)について損をした話です。

私は、親からまとまった額を相続したので、資産運用のために賃貸用マンションを購入しました。賃貸用マンションを購入する際には、当然にマンションの代金(建物と土地)や司法書士の先生への報酬や、不動産業者への仲介手数料などの諸経費を支払うことになるわけです。当然ですが、非課税物件とされている土地以外の部分については物の取引や役務の提供に係る消費税を支払います。そしてその消費税額は、特にマンションの代金に係る消費税があるため、相当な額(数百万程度)にわたります。では、私が支払ったマンションの諸経費を支払った年(当該課税期間といいます。消費税法では、年分のことを課税期間というらしいので。)の消費税を返してもらうことができるのでしょうか。私は、最初、法人税や所得税のように、事業開始年度は、益金や収入金額がマイナスであるため、益金(収入金額)―損金(必要経費)が赤字の場合には、支払った所得税が還付されるように(法人税の場合は繰越欠損金ですね。)、消費税も還付されるものと考えていたのです。

考えてみてください。マンションを購入した課税期間では、家賃収入は非課税取引である一方で、マンション代として支払った消費税の額が明らかに大きいので、当然還付してもらえるものと考えていてもおかしくありませんでしょ。

でも、実際は違うのです。なぜなら、消費税の還付は、課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税を控除した額がマイナスの場合に、還付を求めることが可能であり、そのためには課税売上を生じさせることができる事業者すなわち課税事業者であることが大前提です。課税事業者は、基本的には、基準期間の課税売上が1000万円を超えていることが必要だからです(消費税法第9条)。そして、基準期間とは、その年分の2年前の年分をいうからです(消費税法第2条第14号)。

要するにマンションの代金に係る消費税を支払った課税期間においては、私は課税事業者ではなかったのです。したがって、いくら消費税を支払おうとも消費税の還付を求めることはできないのです。

確かに、消費税課税事業者選択届出書を課税事業者となろうとする課税期間の前日までに提出すれば、課税事業者となることができまずが、不動産経営の場合には、いろいろと消費税法上の規制(例えば調整固定資産の規制などで結局は後の課税期間で消費税額が調整されてしまうこと)が多いことと、当該届出書を提出した場合には、その提出した課税期間を含めて、2年間は、免税事業者に戻ることができなくなり、例えば、賃貸の中に事業用の物件があった場合には課税取引となり、消費税の確定申告が必要となってしまい、あまりうまみありません。

こんなこともあって、私は、マンションの代金を支払った課税期間に係る消費税については還付をすることができなくなって、損をしました。所得税や法人税であれば、その分のマイナスは還付が繰越欠損金の形で、フォローされるのですが、消費税はそのようなフォローがありません。これは免税事業者で消費税の納税義務が免除されていることとバーターの制度なのでしょうか。私にはわかりません。

ただ、私がこのことを通じて学んだのは、消費税の還付を求めることができるためには、課税事業者とならなければならないということです。そして、マンションの購入代金に係る消費税は還付を求めることはできないということです。