農地売却で、住民税・医療費が大幅アップ。対策せずに失敗した55歳男性の話。

士業の体験談(資格試験、税理士事務所勤務体験などのあるある話)

農地売却で、住民税・医療費が大幅アップ。対策せずに失敗した55歳男性の話。

55歳男性で妻と社会人になった子供二人(扶養していません)で暮らしています。

同じ敷地内に隣接する家には父親が一人住まいしています。父親は80歳を迎えていますが元気に自炊生活をしています。生計は共にしておらづ年金収入が多いため扶養に入れることはできないです。数年前に、父親が癌を患い大きな手術を受けることになります。その結果、農地は数年間荒地となってしまいます。父も高齢ということもあって長年兼業農家で稲作を続けてきましたが、私も職業柄、稲作を引き継いで続けていくことが困難であることから、農地に隣接する建設会社に資材置き場として売却することになります。

売買契約には世話役が入り登記費用や申請費用は全て先方が払っていただくという契約条件で、希望額よりも高い200万円で売却をしています。土地の所有名義は父親になっていたため父親が建設会社に農地を売却する内容で、父親が全額を受け取る契約です。

父親は年金生活ですが、大企業に勤めていたお陰で月額18万程の年金収入を得ています。毎年の確定申告では1万円以下ですが小額の払い戻し金額があることから、父親も喜んで確定申告に足を運んでいたのです。今年の3月に父親と毎年の如く確定申告で税務署に出かけます。今年は例年とは異なり200万円の売買契約書があり収入の申請をする必要があります。申告では200万円の農地売却額に対して申請手数料として経費の控除が認められるという説明をうけます。登記費用や申請費用が発生しているのですが全額先方負担ですので、免除申請できるような書類は持ち併せていなかったのです。農地の売却など人生でそうそう何度もあるものでは無いのですので、税金の知識なども全くないのも当然です。それでも基礎控除というものが1割だけ認められるようで、税務署の担当者から言われるがままに、20万円控除額を記入してそのまま申請を行ったのです。申請結果で驚くことに、その年の所得税の追徴額は何と38万円近くになったのです。そして確定額は待ったなしです。

農地を売却した現金が父の口座にはあるので、「そういうものか」という感覚で、2ヵ月後に父の口座から自動引き落としで納税を行います。さて、その後に思いもよらない年金生活の父への負担が始まります。先ずは住民税の追徴です。住民税は4倍に跳ね上がります。拍車をかけるように医療費の負担額が3割負担になります。年生活の父親にです。後期高齢者で大きな手術を行ったときでさえ4万4千円程度の負担で済んでいる父にです。通院で毎週のように医療費負担が目に見えて大変になっています。年間でどれくらいの負担増になるのか、考えるだけで恐ろしくなります。

農地を売却した後になって色々な税金対策があったのではないかと後悔しています。土地建物など一切を父から私に生前贈与して私が所有者とした後に、農地を売却するようにすれば、もともと私の3割負担の医療費は変わらないし、私は医療に拘わることも殆どありませんのでその差は大きいです。安いサラリーで生活をしています。妻も専業主婦ですので控除もあります。所得税も現在多く払っている訳ではありませんので、農地を売却した収入がその後の所得税にどのように影響していくのかは、税に関する知識が無いので解りませんが、負担は今回の結果よりも多少なりとも少なかったのではないかと思えてしまいます。自分自身の税金対策ならば、現役で働いている中で対策はいろいろできます。

一時的な収入ですので、住民税や医療費3割負担は元に戻ります。1年間の我慢として父も出費を控え生活をしています。将来を考えると、退職をした翌年は収入もなくパート収入での生活です。そこへ前年度収入に対する課税を考えると。良い経験をしたと思い、しっかりと税金を学んだ上で将来に備えたいと考えます。