あるセミナーに参加したときの懇親会で、テーブルが一緒になった私以外の方が、
税理士×2名・司法書士・弁護士・社労士だった…
資格を取得するために学んできたからなのか、セミナー会場には士業の方が多いような印象があります。顧問先や取引先へ発信することが価値となることもあるので、学ぶことは良いことであり大切なことだと思います。
しかし、学びで起きる弊害も存在し、多くの士業の方がそれに気づいていません。
学びで起こる、気づきにくい弊害とは
私の仕事である広告制作やセミナー講師を通じて知り合った士業の相談からそれが判明してきたので、今回は、そのことについてお話したいと思います。
セミナーで「クレド」を導入した事務所の話
例えば、
セミナーに参加して、
「『クレド』を社内に導入するとよい成果があがるよ」
と講師から学んだとします。
それを鵜呑みにして、早速『クレド』作りに取り組みます。
次の日曜日の午前中をかけて、セミナーで学んだコツを上手に取り入れながら完成までこぎつけます。
月曜日に印刷屋さんを呼び「こんな感じで作ってよ」と、セミナー会場にあった見本を写メしてきたものを見せて、それと原稿を一緒に渡します。
約1週間ほどして完成したクレドを、次の朝礼のときに社員に1枚ずつ渡します。
「これが我が事務所のクレドです。価値観や行動規範が書かれているから、これに沿って仕事を進めてください。以上。」
2ヶ月後、クレドの効果は…?というと、誰も活用している様子は無く、代表本人もクレドがあったことすら忘れているという状態…。
セミナーで「ニュースレター」を導入した事務所の話
または、
別のセミナー講師から、
「ニュースレターを事務所に導入すると解約が減りますよ!」
と学んだとします。
それは大事なことだと納得し、早速ニュースレターを作ることを決意します。
インターネットで検索すると、ニュースレターのテンプレートがあることを知ります。早速それを申し込んで、ニュースレター作りが始まります。
担当スタッフを一人決めて、その人が紙面の文章作成、社内のコピー機での印刷、発送作業などを担当し、なんとか創刊号が完成し、お客様のもとに届きました。
ニュースレターのひな形は毎月データとして届くので、疑うことなく毎月発行します。
担当になったスタッフは、原稿を書いて、印刷して、発送が完了すると、もう次のニュースレターの制作に取りかからなくてはなりません。いつの間にかそのスタッフは社内広報係かのように、来る日も来る日もやってくる原稿作成に頭を悩ませることになるのでした。
さて、肝心な成果はというと、
お客様からの声も、創刊号のときには物珍しさからか、何人かが
「ありがとうございます」
と言ってきてくれたが、毎月出しているニュースレターの内容について質問があるとか、ニュースレターから会話が盛り上がるということがゼロ。
担当スタッフも、いったいこれは何のためにやっているんだろう?と疑問を抱きながら、不毛な制作を淡々とこなしていくのでありました。
ちょっと大げさに書きましたが、
こういった残念な結果は日本全国の事務所でおこなわれていることでもあります。
しかし、それとは反対に、クレドやニュースレターを、社内活性化やお客様とのコミュニケーションの円滑化に役立たせている事務所も存在するのも事実です。
同じことを取り入れたのに成功する事務所と失敗する事務所がある。
この違いはどこからくるのでしょうか?
その差を3つにまとめてみました。
成功する事務所と、失敗する事務所の「3つの違い」
1.「なぜこれを作るのですか?」と質問されても答えられない
この答えが多くの場合、
「講師がセミナーで効果が出ると言ってたから…」
なのです。
これでは、社内のスタッフの共感や理解も得られませんし、自分自身でも何のために作っているのか理解していないまま進んでいることになります。
「なぜ作るのか?」という問いに明確であることが必須で、
せめて社内のスタッフが共感するくらいの答えを持っていることが必要なのです。
2.コンセプトが無い
「なぜ作るのか?」に答えられないのですから、コンセプトがあるワケがありません。
クレドやニュースレターを作る際、コンセプトを立てて動くことが大切です。
我が事務所で作るニュースレターのコンセプトは「担当職員の援護射撃ツール」とか、「お客さまからスタッフに業務以外の会話を話かけられるためのコミュニケーションツール」というような、ニュースレターを出すことでこれまでと違う状況を創り出すようなテーマを掲げてみると良いと思います。
3.「絶対にこれを活かす!」という執念が無い
クレドもニュースレターも、作るのはそんなに難しいものではありません。クレドが大変なのは、作った後に社内に浸透させることや活用し続けることなのです。ニュースレターは発行を定期的にクオリティ下げることなく維持していくことが大変なのです。
思いつきでパッと作ることは、ある程度誰でもできるのですが、続けることがみんな出来ない。
だから成果を得られないのです。
これらを作ったら、「絶対に活用する!」とか、「成果を出す!」という強い意志、執念のようなものを持った方が実際に成果を出しているのです。
テンプレートや鵜呑みが悪いと言っているのではありません。
実行にあたり、そこに対しての執念やコンセプト、やる理由が欠如していることに問題があり、それをしっかり考えて意志を持って取り組むと、成果が出せるということにつながるのです。